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作り方

縦書きEPUBの作り方
必要な3つの指定と原稿の準備

小説やエッセイを縦書きの電子書籍にするには、いくつかの指定が必要です。とくに重要なのが3つあり、どれか1つでも欠けると、Kindleでは横書きになってしまいます。この記事では、その3点を中心に、原稿の準備から確認の仕方までを解説します。
この記事の内容
  1. 縦書きに必要な3つの指定
  2. 原稿を準備する
  3. 数字の扱い(縦中横)
  4. ルビを入れる
  5. 仕上がりを確認する

縦書きに必要な3つの指定

ここが本記事の核心です。EPUBを縦書きにするには、異なる3か所に指定を入れる必要があります。

1 ページのめくり方向

右から左へめくることを、本の情報ファイル(content.opf)に書きます。これがないと、最終ページから読み始めることになります。

<spine page-progression-direction="rtl">
2 文字を縦に流す指定

CSSで、本文を縦方向に組むことを指定します。読書アプリによって解釈するプロパティが違うため、複数を併記するのが安全です。

writing-mode: vertical-rl;
-epub-writing-mode: vertical-rl;
-webkit-writing-mode: vertical-rl;
3 Kindle向けの縦書き宣言

Amazonは独自にこの指定を見ています。これが欠けると、他のリーダーでは縦書きなのにKindleだけ横書きになります。

<meta name="primary-writing-mode" content="vertical-rl"/>
3番目が、いちばん見落とされます

1と2だけでも、パソコンのEPUBリーダーやApple Booksでは縦書きになります。だから「できた」と思ってしまう。ところがKindleに入れた途端、右綴じなのに本文は横書きという奇妙な本になります。

Kindleでの配信を考えているなら、3番目は必須だと考えてください。

なお、これらの指定はEPUB作成ツールを使えば自動で入ります。 手作業で書くことは通常ありません。ただし「入っているかどうか」を確認できるようになっておくと、うまくいかないときに原因を切り分けられます。

原稿を準備する

縦書きEPUBの原稿は、テキストファイルで用意するのが最も確実です。特別なソフトは要りません。

章の分け方

章ごとにファイルが分かれていると、読書アプリの動作が軽くなり、目次からの移動もスムーズになります。長編を1つのファイルにまとめるのは避けてください。

多くのツールでは、見出しの書き方で自動的に章を分けてくれます。原稿の中で章タイトルの行を決まった形式で書いておけば、それが目次にもなります。

空行の扱い

段落と段落のあいだの空行は、そのまま反映されます。意図しない空行が入っていないか、変換前に確認しておくと、仕上がりが整います。

字下げ

日本語の小説では、段落の先頭を1文字下げるのが慣例です。原稿に全角スペースを入れておく方法と、CSSで自動的に下げる方法があります。両方やると2文字下がってしまうので、どちらか一方にしてください。

数字の扱い(縦中横)

縦書きで意外と厄介なのが、半角の数字です。

縦書きの本文では、半角の数字やアルファベットは横に倒れて表示されます。 これは不具合ではなく、縦書き組版の標準的な挙動です。

そこで使われるのが縦中横(たてちゅうよこ)という組み方です。数文字をまとめて、その部分だけ横向きに組んで、全体としては立った状態にします。

<!-- 縦中横の指定 -->
<span class="tcy">12</span>月

/* CSS */
.tcy { text-combine-upright: all; }

桁数による使い分け

桁数扱い
1桁縦中横にする8月、3人
2桁縦中横にする12月、30分
3桁以上縦中横にしない100人、2026年

3桁以上を縦中横にすると、文字が極端に小さくなって読みにくくなります。日本語組版では、3桁以上は漢数字にするか、横倒しのままにするのが一般的です。

迷ったら漢数字

「二〇二六年」のように漢数字で書いてしまえば、縦中横の問題は起きません。小説では漢数字が好まれることも多いので、原稿の段階で統一しておくのも有効な方法です。

よくあるつまずき

ツールによっては、2桁の数字を1桁ずつ別々に縦中横にしてしまうことがあります。この場合「12」が「1」「2」と分かれて、それぞれが小さく立ち、意図した見た目になりません。

生成後のファイルを確認するときは、この点を見てください。

// 正しい
<span class="tcy">12</span>

// 誤り(分割されている)
<span class="tcy">1</span><span class="tcy">2</span>

ルビを入れる

ふりがなは、原稿では青空文庫記法で書くのが一般的です。

漢字《かんじ》    // 漢字は自動で親文字になる
|そら《・・》    // ひらがな・カタカナは縦棒が必要
昨日の|今日《きょう》 // 範囲を限定したいときも縦棒

詳しい書き方は、ルビの記事で解説しています。

縦書きの場合、ルビは親文字の右側に表示されます。横書きのときは上側です。これはリーダー側が自動で切り替えるので、書き手が意識する必要はありません。

仕上がりを確認する

変換が終わったら、必ず表示を確認してください。作った本人が読まない本は、読者も読めません。

まず見るべき5点

確認する環境

できれば2つ以上の環境で見てください。読書アプリによって解釈が異なるためです。

環境役割
Kindle PreviewerKindleで配信するなら必須。Amazonが無料で配布しています
Apple Books / その他のEPUBリーダー標準的な表示の確認
Kindleは別物だと考える

Amazonは取り込んだEPUBを自社形式に変換します。手元のEPUBリーダーでの見え方が、そのままKindleでの見え方になるとは限りません。

とくに縦書きでは差が出やすいので、Kindleで出すなら必ずKindle Previewerで確認してください。

構造も確認できます

EPUBファイルの拡張子を .zip に変えれば、中身を解凍して見られます。前述の3つの指定が入っているかは、これで確認できます。

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