EPUBの本文はHTMLで書かれています。ルビもHTMLの標準機能をそのまま使います。
これで、こう表示されます。
タグの意味はシンプルです。
| タグ | 役割 |
|---|---|
| <ruby> | ルビをふる範囲全体を囲む |
| <rt> | ふりがな本体(ruby text) |
| <rp> | ルビ非対応の環境向けの代替表示(省略可) |
ルビが使えるのはEPUB 3からです。 EPUB 2の時代には日本語のルビを標準的に表現する手段がなく、これがEPUB 3で日本語書籍が扱えるようになった大きな理由のひとつでした。
とはいえ、小説を書くときに毎回 <ruby> タグを打つのは現実的ではありません。そこで使われるのが、青空文庫記法です。
二重山括弧で囲むだけです。この形式は青空文庫の入力ルールとして長く使われてきたもので、日本の小説家にとって最も馴染みのある書き方です。多くのEPUB作成ツールがこの記法に対応しています。
テキストエディタで普通に書けて、原稿のまま読んでも意味が通り、特別なソフトを必要としないためです。原稿の可搬性が高く、ツールを乗り換えても書き直しが発生しません。
青空文庫記法には、ひとつ重要な決まりがあります。どこからルビをふるかを示す縦棒です。
漢字の並びにルビをふる場合は、ツールが自動で範囲を判断してくれます。しかしひらがな・カタカナ・英数字にルビをふる場合や、漢字の一部だけにふりたい場合は、縦棒(|)で開始位置を明示します。
これを忘れると、意図しない範囲にルビがかかったり、逆にルビが認識されず記号がそのまま本文に残ったりします。
日本語の組版では、ルビのかけ方に2種類あります。
| 種類 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| モノルビ | 一文字ずつ対応させる | 山(やま)+田(だ) |
| グループルビ | まとまりに対してふる | 山田(やまだ) |
「今日(きょう)」のように、一文字ずつには分けられない読みはグループルビになります。一方で人名などは、一文字ずつ対応させたほうが自然に見える場合があります。
実務上は、ほとんどの場合グループルビで問題ありません。 厳密な組版が求められる場面以外で、モノルビにこだわる必要はほぼないと考えてよいと思います。
縦書きの本では、ルビは文字の右側に表示されます。横書きなら上側です。これはブラウザや読書アプリが、縦書き指定に応じて自動的に切り替えてくれます。
ただし、いくつか気をつける点があります。
lang="ja" がないと、読書アプリが日本語の組版ルールを適用してくれないことがあります出来上がったEPUBを開いたら、本文に 《》 がそのまま表示されている——よくある失敗です。原因は、使ったツールがその記法に対応していないか、縦棒の指定が正しくないかのどちらかです。
原稿を変換する前に、そのツールがどの記法に対応しているかを確認してください。
青空文庫記法が最も普及していますが、ツールによっては独自の記法を採用している場合があります。原稿を書き始める前に、使うツールの記法を確認しておくと、後から全文を書き直す事態を避けられます。
ルビの大きさや位置は、読書アプリの実装によって微妙に異なります。手元の環境で綺麗に見えても、別の端末では詰まって見えることがあります。 配信先が決まっているなら、その環境で確認するのが確実です。
Amazonは取り込んだEPUBを自社形式に変換します。変換後の表示は、手元のEPUBリーダーでの見え方と一致するとは限りません。 Kindleでの配信を予定しているなら、Amazonが配布している確認用ソフトで実際の見え方を確かめてください。